理想と現実「花の色」

小説

初めはどちらも白色の花でした。
「私は赤色がいいな」「私は青色がいい」
お互いに理想を語り合い、花が色づくのを待ち望んでいました。

月日は経ち、とうとうその時がやってきました!
赤色を望んだあの人は青色に、青色を望んだあの人は赤色に。
それぞれ花は色づきました。
理想と現実の違いに失望し、絶望し、悲しみました。

交換出来たらどれほどいいか!
しかし、交換するすべは何処にもありません。
あの人は私の理想を手に入れた。
あの人は私が欲しいものを持っている。

お互いを羨み、妬みました。

現実を受け入れられず否定しました。
そして、もがきました。反抗しました。対抗しました。
理想に近づくために。

そんなある日、気づいたのです。

現実を否定しても理想に近づくことはできないと。
色を上から塗ったところで根本は変わらないと。

そこから考え方が変わりました。
まずは自分の花の色を愛そうと。
理想と現実が共存する世界を目指そうと。
たとえ絵空事と笑われても、普通じゃないと否定されても。
何度も何度も試行錯誤を繰り返しました。

そしてついに見つけました!
「自分らしさ」を。

そこから楽になりました。
誰かを羨むことも妬むこともなく、現実に失望することも、絶望することも、悲しむこともなくなったからです。

けれど、きっとこの先も同じように理想と現実の差にぶつかるでしょう。
その時はまた、同じように繰り返すだけです。

一度乗り越えたのなら大丈夫。
さぁ、自分だけの「自分らしさ」をソウゾウしよう。

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